ベランダっ子と遊ぶ。
今日も穏やかな天気、今日の午後は久しぶりに時間がとれたので、我アパートのベランダの住人たちと戯れました。
普段つかず離れずのいい距離感で彼らとつきあってます。朝と晩に水の渇きと最低限の手入れを確認するだけで、べったりとベランダに張り付く事はほとんどありません。
大概はそういった関係の方が多いのではないでしょうか。
盆栽の手入れの大前提は仕事の後の管理です。どんなに姿を変えても、どんなに根っこを切り詰めても、枯らしてしまってはその仕事はいい仕事とはいえません。
植替えも同様で、根と葉のバランスや時期の違いによって、その後の管理の難易度が変わってきます。
ですから、盆栽技術の優れている人は盆栽の培養もまた優れているという事なのです。
もちろんそれまでには相当な研究と経験を積んでいらっしゃる事も付け加えさせていただきます。
話はそれましたが、時間があるときにと思い、去年挿し木した素材を何本か植替えました。
左の写真は、挿し床から根をほぐした直後です。一年で旺盛な発根を見せてくれました。ただ、右端の苗はまだ十分な発根とはいえません。
右の写真は、植替え直後、バスルームに並んだヒノキッズです。一本ずつ仕立て鉢に入れてあげました。今年から盆栽としての躾がはじまるわけです。
右端の鉢はさっきの根の少ない苗と、殆ど発根の見られなかった苗をもう一度まとめて植え替えました。こいつは、ビニール袋に包んであげて、気候が安定するまで挿し木と同じような管理をしようとおもいます。
他も、乾風のあたらない場所に置いてあげます。
植替え直後は、土を乾燥させすぎると、たちまち根が弱って衰弱してしまうので、芽が動き出すまでの間(僕の住む環境ならあと2週間ほど)集中管理をしてあげます。これは常緑の樹のほうがより気を使うものです。
今は盆栽としては、まったく鑑賞段階に至っておらず、舞台(化粧鉢)にあがるのは随分と先の話で、それまでしっかり丹精してあげようと思います。
これも去年大量に挿し木して箱に入っていたんですが、そのままにしてもしょうがないので、一部鉢に納めてみました。
しかしながら、ヤブコウジは丸い鉢の方が合うようですね。どうも鉢が強く見えてしまう。
でも、まあ他に鉢もないし、長く丹精して持ち込めば、若干樹が鉢にあってくるかもしれないので(それまで我慢できなくて植え替えるかも)とりあえずこんな感じでいいでしょうか。
挿した苗を、麻紐で軽く結わいて、植え込みました。
こいつは挿し木すると簡単につくし、地下茎みたいなのでガンガン増えてくれるし、盆栽の下草にも使えるし、多少日が当たらんくても平気だし(実際にうちの田舎では暗い杉林のなかにヤブコウジの絨毯ができるくらいです)、赤い実はかわいいしで、育ててみて損は無い樹だと思います。
あと、報告です ちゃっかり挿し木したシンパクの霜焼けもとれて、鮮やかな緑色になってきました。挿し木苗で、まだ根も出てない状態だから、まだ養生には気を使いますが、とりあえずこういった「良い変化」は些細な事でも嬉しいものです。
日中は風が当たらないようにしつつ、ビニール袋の上を少し空けて、熱気がこもらないようにします。あまり温度があがると真っ赤に葉やけしてしまいます。
かつ温度の下がる夜は、ビニル袋をしめてあげます。
根が無いので、乾燥には特に弱いです。だから水はたっぷり多めでもとりあえず大丈夫。
僕は普段ベランダっ子の管理は1日五分もかかりません。
盆栽忙しい人は出来ない、これ迷信。
盆栽は少ない手間でもよく、しっかり年月をかけることが大事。
これが本当。
何度も言うようですが、丹精こそ盆栽の原点。
この子達は今どう見ても盆栽とは呼べない代物かもしれません。しかし、的確な培養と、将来を見据えた躾で、少なくとも今よりは遥かに素晴らしい姿を見せてくれると思います。
だからこそ、苗木や実生には夢があるんです。
名木は、お金をかけて買うか、時間をかけて作るものです。
どんな樹も初めはみんな僕の写真のような苗だったんだもの。
出来る前に死んじゃうって?
いいじゃない、命のリレーなんだもの。その一時にでも携われた歓びが本物じゃない。
ちなみに写真は植物流転でもみれます。
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コメント
こんばんは☆
*いいじゃない、命のリレーなんだもの
盆栽を知って、ほんとに実感する言葉です。
ま、私のはリレーするなんて言うのも
おこがましいのですが。
でも、失敗も経験と思いながら、どの鉢も
愛おしい。
ましてや、人から人へ受け継がれる盆栽。
真さに、命の継承、リレーですね
このところ冷たい風が気になる陽気ですね。
植え替えした鉢、うっかりすると
失敗しそうでヒヤヒヤしてます。
投稿: さぼてんママ | 2007年3月14日 (水) 23時24分
さぼママさん、書き込みありがとうございます。
命のリレーを実感してくれて、僕は本当にうれしい。
盆栽に新しいも古いもありません。
自然の景色に流行り廃りがないように。
変わっていくのは人の心。
盆栽に何を感じるかは、その人の心の中にあるんです
おこがましい命なんて1つもないですよ。
さぼママさんも胸を張って、命のリレーにさんかしましょう!
大事なのは、失敗した後の「痛み」を感じる感受性です。
痛みの後には何かが必ず生まれます。
それは、僕たち人間が誕生する瞬間のように。
春の嵐にまけず盆栽を丹精すれば、必ずさぼママさんに新しい何かをもたらしてくれると、僕は信じます。
本当にうれしい。ありがとう。
投稿: ちどり | 2007年3月15日 (木) 20時13分