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あげ!あげ!肥料

もうダイブ芽が動き始めたのではないでしょうか?

僕が今いる盆栽園でも、いやぁ、賑やかなものですよ。

キラキラと新芽がまぶしくて。

ところで目覚めたばかりの樹に肥料をあげないのは、簡単な理由で人間が朝目覚めたばかりで、いきなりご飯を食べるのはしんどいでしょう?

盆栽だって、目覚めていきなり肥料をあげたら、場合によって肥料あたり(人間で言う食あたり)をして、樹を傷めてしまうことがあるんです。

だから、少しばかり芽がほころんで葉っぱが形をなし始めた頃が、春の肥料のあげどきになるわけです。

あくまでイメージとしては、さなぎから帰ったばかりの蝶の、羽が開くまでのあの状態に似ているでしょうか。

てなわけでして、ここ数日は状態によって肥料をあげはじまったわけです。

もちろん朝ご飯の摂り方にはいくつかの型があります。ここではそのいくつかの例をあげたいと思います。

①植替えした樹の場合

植替えした樹は、根っこを切られている事で、栄養をすんなり吸収できず、肥料あたりを起こしやすい状態です。

人間に例えるなら、胃の摘出手術をうけたあとは、おかゆでならしていくでしょう?

安全を期すなら、樹も人間と一緒で、植替えした樹は、植替えしてない樹より少し遅らせて肥料をあげて、最初は少なめに様子を見てあげます。芽だし後の芽の伸びが悪い樹は、液肥をあげるという事もあります。液肥は起き掛けの栄養剤みたいなものですね。

②春から力を乗せたい樹

とくに黒松や赤松など、芽きりをする予定の樹は、春から他の樹種よりは相対的に多く肥料をあげます。葉がりを予定している樹も、肥料を効かせると、葉刈り後に、樹勢を落とさずに済むことにもなります。もちろん、それだけ原因とは限りませんが。

朝から働く人は、朝ご飯をしっかり摂るみたいなものですね。

③五葉松

五葉松は基本的に春の肥料はあげません。

なぜなら、肥料をあげ過ぎると、葉っぱが伸びすぎてしまうからです。

これは、樹にとっては勢いがつきすぎたわけですから、悪い事ではないのですが、短く締まった葉が魅力の五葉松ですから、鑑賞上不都合にとらえられてしまうわけです。

これも状況に応じて、例えば、若樹で力をつけたい、鑑賞はまだ先でいいなら、春の肥料は効果的だし、樹が弱っているなら、液肥で様子を見てあげるのもいいし(弱ってる樹も根が弱ってますから、施肥は慎重に)、逆に枝先が細かくほぐれだした樹に、あまり肥料をあげ過ぎると、枝先がごつくなって、せっかくの丹精が台無しになります。甘やかしすぎて、太ってしまったペットみたいなものです。

これは、五葉に限らずですから、じっくりとその樹の状態を観察することが大事ですね。これは何度でも繰り返し書きたいと思うことです。

という訳で、いくつか例をあげてみましたが、最後に大事なポイントですが、

肥料はあくまで、「樹の成長を補助するもの」、ということです。

人間で言うところの「サプリメント」といいますか。

植物は当然ながら、その育つ環境こそが、樹を丈夫に育てる一番の要因です。

大きな勘違いをしている人は、弱った樹は肥料をあげると元気になる、と思っています。

そうではなくて、様々な環境で補いきれない部分を、肥料で補っているという事なのです。環境を改善して初めて、肥料も効果を発揮するというわけですね。

例えば、根腐れした樹は、いくら肥料をあげても、かえって根っこを痛めるだけだし、仮に痛めないにしても、鉢を乾かしてあげて、根っこの酸欠状態を解消しなければ、肥料なんてのは意味が無いというわけです。

肥料に頼ってしまう前に、しっかりと樹の状態と環境を観察して、その状態をよりよい方向にもっていくことは、もはや盆栽培養の大前提でもあります。

人間も、薬に頼りすぎる前に、生活習慣を改善しますよね?

僕たち人間は、自分で自分の環境をかえられる精神を持っていますが、盆栽たちはやはりその環境を人の手に委ねざるえないわけで、

じっくりと樹と会話して、そのあたりのことちゃんとわかってあげたいなって、僕は思うのです。

簡単な事じゃないですよ、だって樹は喋らないんだモノ。

その代り、それに変わるシグナルを発している。

それに気付くための、日々の丹精。

読み取りたい!そう願い、そう努力する日々でもあります。

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コメント

>じっくりと樹と会話して、そのあたりのことちゃんとわかってあげたいなって、僕は思うのです。

まったくもって生き物には大事なことなんですよねえ。
モノをいわないだけに自分が気を使ってやる、そういう気持ちを忘れないで育てると愛着も湧き、いい盆栽に育ってくれるのだろうなと思いつつ、なんとか春に新芽を咲かせることが出来たという程度の低レベルなところでヒイハアいってますが皆が芽吹いてくれて毎日ウキウキしながら水遣りすることができてます。私の場合なにせ夏だな勝負は・・・

投稿: 夢湖 | 2007年4月11日 (水) 11時57分

どんな趣味も初めから達人はいないですから、
些細な事でも感動しながら楽しむ事は何も恥ずかしい事ではありませんよ。

それに、何年経とうと、春の芽だしは胸躍るし、水やりもウキウキです。

それってば、夢湖さんの感性が豊かであるって事だと思いますよ。

夏、いざとなったら沢山の人から知恵を借りちゃいましょう。

投稿: ちどり | 2007年4月11日 (水) 20時26分

人に例えると・・・ものすっごくわかりやすかったです!なるほどな~
ちどりさん、サンキュー!かなりのヒントになりましたヨ。

投稿: hirokophone | 2007年4月12日 (木) 14時51分

人に例えると、まるで自分のことのように感じるから、余計しっくり来ますよね。

このヒント、生きるんだったらこりゃ本望です。

投稿: ちどり | 2007年4月12日 (木) 21時48分

ちどりさん、とても参考になりました。
今まさに芽出しの季節で、それぞれの鉢がそれぞれに健やかに育つのを祈るばかり。
肥料の効果的な使い方をもっと勉強しよう、と思いました。

投稿: toko | 2007年4月14日 (土) 13時06分

tokoさん、書き込みありがとうございます。

そうですね、限られた世界で生きる盆栽にとって、肥料は非常に重要なポイントになるのは確かですが、

使い方一つで、まったく同じ肥料をつかっても、その成果は雲泥の差になることもあるんです。

それは、殺虫消毒剤に関しても言える事です。

勉強は大事です、応援してます。

投稿: ちどり | 2007年4月15日 (日) 17時27分

こんばんは

植え替え、種まき、芽摘み、と焦りまくっている
さぼママです。(笑)

今年は、いろんな事が重なって忙しい春。
気持ちばかり先にたって、行動が後からの日々。

ようやく、一昨日肥料をやりました。
今年はティーバック袋につめて、なるべく
『虫を無視』作戦デス

投稿: さぼてんママ | 2007年4月19日 (木) 22時13分

さぼママさんお久しぶりです。
書き込みありがとうございます。

虫を無視作戦、いいですね。

ある意味では、発見した虫を捕殺するのも同じ生き物としてしのびないですから、

樹にとっても虫にとっても、優しさともいえますね。

置き肥に発生する虫は、いたずらするような虫ではないけど、お互い出会わずにすむなら、それが一番ですよね。

投稿: ちどり | 2007年4月20日 (金) 20時50分

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