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「好き」は、世代を越えて。

僕は以前から日記に書いているように、盆栽は年齢をより良く重ねる事ができる趣味だと考えています。

繰り返しになるかも知れませんが、盆栽は丹精によってその命を次の世代に託していくバトンであり、

例えば、それが実生であれば、新しい物語の始まりであり、古木になれば、多くの先人たちの想いや知恵の結晶ですから、それを丹精する人間と盆栽すべてにそれぞれの「章」が用意されていて、どれも決して欠く事のできない事実、歴史です。

だからこそ、ここで言いたいのは、「受け継ぐのは盆栽だけですか?」ということです。

僕は、盆栽と言うのは常に授かりものであると考えています。それは、自然からだけではなく、もちろん先人たちからの、と言う意味でもです。

盆栽を手に入れれば、先人たちはお役ごめんでしょうか?

例えば、亡くなった僕の祖父は、「実生盆栽は3代かけてつくる」と常々いっていました。

その想いは、特に家族である僕が、しっかり認識して継承していきたいですし、亡くなった祖父の精神的な遺産を受け継ぐ事で、僕自身もまた祖父に対する様々な想いが豊かに膨らんでくることを実感しているのです。

先人たちの夢は、盆栽と共にあり、決して持ち主(育て主という表現の方がしっくりします)が変わるからと言って、まったく切り離されたものだと考えたくないのです。なんだかそれじゃ悲しい。

それと同時に僕が実生をはじめる事で、僕と盆栽の新しい物語も始まっていますし、必ずしもひとりの人間に用意された「章」は1つではなく、様々な物語が複雑に絡み合って、その盆栽を趣味とする個人の物語が個性的に輝いてくるのだと思います。

しかし個性の発現は、内面からくるよりは、多くは尊敬する先人たちの生き方かから学んでいます。僕に限った話ではないと思っています。

尊敬する人、大好きな盆栽の型、そういったものに触れることで、より自分らしい盆栽ライフが創造されていくのではないでしょうか?

先日日記に登場した、映画製作会社の方は、年齢的には僕の倍以上はなれているのですが、数ヶ月に一度、小田急沿線沿いのとある駅前で、終電ぎりぎりまで盆栽や人生についてとことんお話を重ねさせていただいてます。

その方は、偶然訪れた僕の田舎のとある村で、僕の父の丹精している盆栽に出会ったのがキッカケで父と知り合い、僕はその恩恵にあやかって、このような機会を作って頂いているのですが、

僕はその方のお話がとても好きで、いつも帰りの満員の急行電車で、なんだか心が高揚してくるのを抑える事ができなくなります。

うれしいんですね。

盆栽という趣味を通じて、世代を越えた交流、純粋にうれしいのです

僕は盆栽をはじめたころ、学生時代の仲間に「年寄り相手で生気がすいとられちゃうよ。いつかミイラになっちゃうかもね」と愚痴をこぼしていました。

しかし、実家の祖母の葬式のときに、長い間実家に通ってくれてお客さんや父親との目頭が熱くなる交流を目の当たりにして(これもいずれ機会があったらお話させていただきます)盆栽の本当の魅力に気付かされ、

年齢を越えた、盆栽を「好き」な人との交流に憧れるようになりました。

それが今、あの世田谷の小さな焼肉屋の片隅で、鉄板よりも熱い盆栽談義が繰り広げられた事に、僕はとてもうれしさがこみ上げてきたのです。

命のリレーとは、盆栽そのもののリレーだけではなく、盆栽を媒体とした、人と人との心のリレーであればいいなと思います。

もちろん技術的に盆栽を長く生かす事は加えて大事な事で、その実際の現場をしっかりサポートするために僕たちは日々の研鑚に励んでいるわけです。

最後に、僕にじいさんがうちの祖母に当てた手紙を引用します。

「よく俺の盆栽人生についてきてくれた。こんど生まれ変わってもまた一緒になって、歌でも歌いながら楽しくらしましょう。」

以前にも紹介した事があったのですが、祖父がなくなったあと、遺品のなかから祖母が見つけて、大変喜んだそうです。

その祖母がなくなった葬儀で、またこの一文が詠まれることになりました。

これこそ、僕が伝えたい命のリレーの原点であると思っています。

ついでに、草遊びの経過です。流転でみれます

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