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樹が、盆栽に変わる時。

みなさんは、「荒作り」というものをごぞんじでしょうか?

僕は、盆栽は、人の手によって「しつけ」がなされて、はじめて盆栽と呼べるのだと思っています。

ですから、実生で育てた素材も、天然の素材も、一枝一枝に役割を持たせてあげる必要があり、その初めてのしつけが、「荒作り」といわれる仕事なのです。

僕のいるぼんさいや「あべ」は、特に五葉松の荒作りを得意分野としています。

「改作」といわれる持ち崩した盆栽を、手を入れることで樹格向上させる仕事もありますが、こちらはある意味では枝表現の始まりですから、より仕事をする人が考える表現が反映されることになります。

1度切り取ってしまった枝は、二度と戻すことはできませんから、緊張感もあり、大変面白い仕事です。

それでは、大人しい素材で荒作りした仕事を紹介します。

4859 五葉松の接木30年生です。

大きさは35cmくらいです。

まず始めに正面を決定しました。

4861 つぎに、足元から頭の先までの幹の流れを決めて、それにあわせて、流れを決める枝や後ろの見せる枝など役割にあわせて、枝をカットしていきます。

4862 切り取った枝は少し長めに残しておいて、枯れた時に残る枝(ジン)のように細工していきます。

4876 そして、枝に針金をかけて、上下左右に振り付けしながら、形をつくっていきます。

荒作りの針金は基本アルミ線をつかいます。

一気に枝を切り落とすと、樹勢のいい樹は、一年で針金が食い込んでしまいます。

ですから、来年の秋には外す予定なので、扱いの楽なアルミ線をつかいます。

その後、枝先の整姿につかう針金は銅線になります。細くても効きがよく、酸化すると、目立たなくなるからです。その代わり、1度クセをつけると硬くなるため、アルミより扱いにくいのです。

こういった基本の作業を実に付けていくと、難しい素材にもチャレンジできるようになってきます。その例をいくつか紹介します。

4856 実生40年の根上がり風模様木素材です。

元の芯が虫に食べられて枯れてしまい、八方に広がった枝をうまく使わなくてはいけません。

4883 少し見難いかもしれませんが、

右に利かせる枝、左に受ける枝、

後ろに見せる枝、芯になる枝を見極めて、バランスよく配置していきます。

枝が随分のこってますよね。

これはバランスやツヨイしつけの関係で、一気に切り落とすと残された枝が弱ってしまう場合、その先の枝を残しておく事があります。

来年の春に残された枝の芽が元気よく動いてくれれば、すぐに切り落とします。

それと、後ろに枝が無いので、右の飛び出た枝の一部を後ろに立ってる枝の元に、回して接いでいます。

4872

こういった方法で、役割をこなすべき枝が無い部分に枝を回して来るのです。

元の枝に溝を掘って、そこに回してきた細い枝をはめ込んでおくと、早くて1年ほどで、元の枝に癒着してくれます。

理想通りに作られているとは限らない盆栽素材を無駄にしないためにも、こういった技術で出来るだけ多くの樹を盆栽にしてあげるのは、ぼんさいや「あべ」の大事な使命ともいえます。

4865 これはフランスから来た方がワークショップで仕事していった木です。

もともとある枝でも、樹形創作において使える枝が多いほど、最初の荒作りの段階であっても、より盆栽としての姿が出せるといえます。

4864 この木は、元の芯が完全に枯れてしまい、枝を起こして芯につくりなおしています。

こういった変わり樹形でも、芯になる枝、利かせる枝、受ける枝、後ろから見せる枝など、その役割を決めて、一枝一枝を見せることで、より景色が複雑になっていくわけです。

モチロン実生数年の木でさえも、こういった作業が行われる日が必ずきます。まぁ、いってみれば通過儀礼「成人式」みたいなもので、

痛みに耐えることで、大人の階段登るわけです。

都合のいい解釈でごめんなさいね。

こういった仕事は綺麗な盆栽を見る展示会ではお目にかかれないと思います。

けれど盆栽誕生の瞬間は、実に面白い分野だと僕は思います。

こういった仕事に興味がある方は、ぜひぼんさいや「あべ」に遊びに来てくださいね。

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