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人事を尽くして天命を待つ

今日、パオの光永さんが1年ぶりに来福されました。

僕が修行時代に経堂駅前の焼肉屋で、たくさんのお話を聞かせてくれた恩師でもあります。

この方、筋金入りの実生愛盆家さんで、庭中、実生の松で溢れかえっていて、名前を「松永さん」に変えたほうがいいといわれるほどの、松好きです。

今回も短い時間でしたが、僕が盆栽を生業にしていて、迷いや悩みで心が定まらないことがあることをお話したら、

「最初から「これが自分の天命だ」って思って仕事を出来る人は幸せだよね。」

「自分も何度も映画の世界をやめようと思ったことがあったけど、やめたところで何もない。そんなことを繰り返しているうちに気がついたら40年たっていたよ。」

とお話してくれました。

また、

「あなたの仕事は、すぐにカタチになるもんじゃない。何年もかかるものでしょ。何かしようと思っても、そのネタになるものをしっかり準備しておかないといけないよね。」

ということをお話してくれました。

確かに、気持ちは今すぐでも、僕がしている仕事は5年先、10年先の仕事。

どんなに焦っても、足元はしっかりと固めておかないといけないなと思いました。

その後、親父に「盆栽やめようと思ったことはないの?」と聞いたら、

「俺は頭にくるとすぐに、やめたー!っていってたよ。」

すると爺さんは必ず「やめちまえ!」と言っていたそうです。

「やめちまえって簡単に言われると、なんだか悔しくて結局やめずに今になったよ。」

と言っていました。

光永さんは、「とにかく続けることだよね。」と言っていました。

また明日からお仕事で、東京に帰っていった光永さんを見送ったあと、

僕の気持ちがすっきりとしたのを感じました。

いい春の一日でした。

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春の行事

日曜日、近所の養蚕神社で祭りがありました。

氏子の跡取りでつくる報徳青年団で、祭りを取り仕切るのですが、

たった9人の消滅寸前の会です。

それでも氏子に祭りを返さずに、こうやって続いているのは今や貴重なことだそうです。

010 早朝5時半、霧の養蚕神社。

前日の雪も解けて、絶好の祭り日和になりました。

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ちいさな社ですが、ちゃんと神主さんをよんでお祈りします。

027一番の大仕事は旗たて。人数が少ないから、結構大変です。

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ようやく祭りが始まります。

といっても、氏子さんにお札を配って、昼から酒飲みながら、拝みに来た近所の子供にお菓子を配るという、なんともユルイお祭りです。

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近所の子供たち。

こうやってみんなで遊びながら、自然と人間らしさが身についていくんですね。

地元のみなさんとお酒を飲みながら、親睦を深める。楽しかったです。

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そして翌日、我が家の門下ぶりのスモモが開花しました。

この樹は「ふうむさ」といって、随分古い品種だそうです。

大きな実をつけて、毎年近所の人とおいしく頂いています。

今日、近くのプラムの花を頂いてきて、花粉をぼん天で交配しました。

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ふきのとうの茎と、うどの炒め物です。

ふきのとうはとり損ねても、茎がおいしいんです。

蕗よりも香りが強くやわらかい。皮をむかなくてもいい。

少し硬いようなら、タンサンを入れて湯がけば大丈夫。

これも倉吉爺さんから教えてもらった知恵のひとつです。

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そして春の風物詩といえば、五葉松の種蒔き。

畑の実生苗木の植替えが終わると、最後に種を蒔きます。

これが終わると、畑の仕事は草むしりまで一段落。

いよいよ庭の盆栽の植替えが始まります。

こうやって日ごとに春は体に染み込んできます。

とうわけで、最後に告知です。

今週末の24日、25日に福島市のうさぎやさんで、「本の路地裏」というイベントが行われます。

僕もブックカバー展のほうに、ブックカバーまがいなものを出展予定です。

普段はまず作らないようなものを持っていきます。

当日ぜひ足を運んでくださいね。

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一生の仕事

春は植替えの季節。

それは、畑の実生苗も同じことです。

多くの人は畑に撒いた五葉松を何もしないで育てていると思っているそうですが、

実生3年を迎えると、初めての植替え(床はがし)を行います。

その後、一年から二年に一度植替えを行い、根元に小根を作り、鉢上げが楽な状態に育てていきます。

Sa3c0012

これが床はがしした実生3年生です。今年の床はがしはこの長さで6うねありました。

Sa3c0003

この苗は実生5年生です。床はがしのあと、2年そのままでした。

葉も勢いがついています。

Sa3c0008 わずか二年でも、こんなに根が走ってしまいます。

あと一年もすると植替え作業も大変になるし、根元に小根がなくなり、すぐに鉢にあげても活着率は大分落ちてしまいます。

根元にしっかりと小根を作ることが、盆栽の素材つくりの大基本になります。

Sa3c0002_2

さっきの苗を、鍬で起こしていきます。

Sa3c0004

起こした苗は、成長具合にあわせて、大、中、小に選り分け、根を切り添えます。

そのまま植えると乾燥でかなり枯れてしまうのですが、根に水をつけて土を擦り付けるだけで、苗が枯れる確立がかなり減ります。

Sa3c0001耕した畑に紐で線をつけていきます。

Sa3c0005

ラインに沿って、大きさ別に苗を並べて植えていきます。これは小の苗。

Sa3c0006

こうやって80年以上前から、同じ事を繰り返しつづけてきました。

実生苗のラインがとても綺麗ですよね。

Sa3c0010

またしてもチーム60です。

今回は名誉会員のアラ80の、ミイばあさんがお手伝いにきてくれました。

腰は苦労でまがってしまいましたが、「実生の植替えは何十年もやって来たからできるよ。」ってことで、毎年お手伝いに来ていただいています。

メンバーの中では一番仕事が速いです。無駄がないとは、まさにミイちゃんの代名詞でしょう。

僕は実生の植替えや草むしりの仕事をしていると、いつも浮かんでくる思いがあります。

「誰にでも出来るような仕事こそ、一生の仕事なんだな。」ということです。

我が家の前の92歳になるモトばあさんも、毎日庭に出て草むしりを続けています。

死ぬまで人の役に立つというのは、当たり前の仕事を丁寧に続けてきた人に与えられたご褒美なのかもしれません。

盆久楽会の会員さん、マキばあさんが仰いました。

「おら、実生なら出来るよ。」

85歳を超えたいまでも、実生、曲付け、接木を続けています。

僕も年を重ねたり、病気で盆栽がまともに作れなくなっても、実生は続けていきたいと思います。

そのためには、毎年この仕事を続けて、僕の体に実生仕事の技術をしみ込ませる必要があります。

なぜなら、誰にでも出来ることは、誰にでも続けることの出来ない仕事だからです。

要するに、誰にでも出来る仕事なんて表現してますが、実際誰にでも出来る仕事じゃないということです。

どんな仕事でも、経験が体を作り、技として体に残っていくものだと思います。

言葉という魔法に泳がされて、時間という宝物を大事にしない人には決してえられない幸福。

技には、言葉という特効薬は通用しない。

だからこそ、みんなで実生を楽しんで欲しい。

技はすなわち自然だから。

あなたがあなたの体で覚えた個性だから。

僕の願いの1つです。欲張りな僕のです。

最後に、僕が勝手に実生素材のテーマソングにしている唄を紹介します。多分既に出てますが。

ブルーハーツ「歩く花」

伝統、文化はそれが続くことが出来えた側、人、技術に在るのであって、作られたものに在るのではないと思います。

たとえ世界中の名木が枯れても、また時間をかけて作ればいいのです。それが技術であり文化であり、過去からの遺産、生命の連鎖、伝統ではないでしょうか?

出来たものや過去に説明をつけるのは、歴史の勉強です。

それなら歴史の教科書を買って読めばいい。

文化、伝統に触れてみたいなら、そう思った本人が、実際に技を身につけるしか方法が無いと、僕は思います。

だから名木を鑑賞するのは歴史です。実生は伝統であり文化です。

世界中の老若男女が、盆栽文化に触れうる最大限の可能性が実生にあると、僕は信じたいのです。

畑仕事のあとの筋肉痛は、まぁ、自分へのご褒美でしょう。

もはや僕は変態です。

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FOR座REST、参加します!

2010年、FOR座RESTに参加、決定しました。

福島市在住ならご存知の方多いと思います。

リンクです→http://www.ankaju.com/forzarest.html

というわけで、4月24日12時からチケット販売です。6300円です。

ちなみに、ライナーには僕の名前が「阿部DAIKI」で載ってます。

先輩が、名前をローマ字にしてのせてくれました。

当日は、ぼんさいや「あべ」になってるかもしれません。

参加の内容は、ワークショップ。

本当は五葉松の苗木に針金を巻いてもらいたいのですが、季節的に針金巻きの仕事は樹にかわいそうなので、今回は苔玉にする予定です。

今のところ料金や参加人数の上限も未定ですが、華やかでわかりやすいカタチで提供できるよう思案中です。

このブログでも詳細が決まり次第報告していきます。

まずは、皆さんライブのチケット、即完売が予想されますが、がんばってゲットしてくださいね。

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桜植えました。

先日、雨の合間を盗んで、以前実生素材が植えてあった山の畑の斜面に、桜の苗を植えてきました。

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ここの斜面は以前、根上がりの大物素材を育てていました。

時代とともに大物素材の需要も少なくなり、耕作地としては不向きですが、畑を荒らすことも出来ないので、桜を植えて、将来は家族や仲間、お客さんと花見が出来るようにしようと思い、桜を植えることにしました。

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苗木は、色々な種類です。遠くからでも見栄えするように、大輪種を選びました。

今から、10年後、20年後が楽しみでなりません。

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倉吉爺さんの資料

僕の仕事のひとつとして、「先代の仕事が風化しないようにする」があると思います。

もちろん盆栽は、生き物ですから、当然姿を変え続けるわけですが、

その盆栽と先代がどのような思いで携わったかを後世の人に伝える言わば、「語りべ」としての役割が、次代の人間に課せられた大事な仕事ではないでしょうか。

というわけで、過去にうちの爺さんが雑誌で特集された時の記事を紹介します。

「盆栽世界 1986 12」
http://www.adica.co.jp/bonsai/bonsakisekai1986_12.pdf

「日本の心を謳う 松柏盆栽の美 盆栽世界別冊・デラックス」
http://www.adica.co.jp/bonsai/syouhakubonsainobi.pdf

前回のyoutubeのニュース特集掲載に続き、今回も、アディカの堀内さんのお仕事です。

以前ある家具職人さんが「自分ひとりでがんばりきる人はそういない」と言っていました。

僕一人では到底実現(というよりはイメージすら)出来ない仕事でも、人とのご縁によって実現していく。

本当に出会いとは素敵なものです。

堀内さん、ありがとうございました。

このブログを見ている多くのみなさんに、少しでも阿部倉吉の思いが伝わるように願います。

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