« FOR座REST、参加します! | トップページ | 春の行事 »

一生の仕事

春は植替えの季節。

それは、畑の実生苗も同じことです。

多くの人は畑に撒いた五葉松を何もしないで育てていると思っているそうですが、

実生3年を迎えると、初めての植替え(床はがし)を行います。

その後、一年から二年に一度植替えを行い、根元に小根を作り、鉢上げが楽な状態に育てていきます。

Sa3c0012

これが床はがしした実生3年生です。今年の床はがしはこの長さで6うねありました。

Sa3c0003

この苗は実生5年生です。床はがしのあと、2年そのままでした。

葉も勢いがついています。

Sa3c0008 わずか二年でも、こんなに根が走ってしまいます。

あと一年もすると植替え作業も大変になるし、根元に小根がなくなり、すぐに鉢にあげても活着率は大分落ちてしまいます。

根元にしっかりと小根を作ることが、盆栽の素材つくりの大基本になります。

Sa3c0002_2

さっきの苗を、鍬で起こしていきます。

Sa3c0004

起こした苗は、成長具合にあわせて、大、中、小に選り分け、根を切り添えます。

そのまま植えると乾燥でかなり枯れてしまうのですが、根に水をつけて土を擦り付けるだけで、苗が枯れる確立がかなり減ります。

Sa3c0001耕した畑に紐で線をつけていきます。

Sa3c0005

ラインに沿って、大きさ別に苗を並べて植えていきます。これは小の苗。

Sa3c0006

こうやって80年以上前から、同じ事を繰り返しつづけてきました。

実生苗のラインがとても綺麗ですよね。

Sa3c0010

またしてもチーム60です。

今回は名誉会員のアラ80の、ミイばあさんがお手伝いにきてくれました。

腰は苦労でまがってしまいましたが、「実生の植替えは何十年もやって来たからできるよ。」ってことで、毎年お手伝いに来ていただいています。

メンバーの中では一番仕事が速いです。無駄がないとは、まさにミイちゃんの代名詞でしょう。

僕は実生の植替えや草むしりの仕事をしていると、いつも浮かんでくる思いがあります。

「誰にでも出来るような仕事こそ、一生の仕事なんだな。」ということです。

我が家の前の92歳になるモトばあさんも、毎日庭に出て草むしりを続けています。

死ぬまで人の役に立つというのは、当たり前の仕事を丁寧に続けてきた人に与えられたご褒美なのかもしれません。

盆久楽会の会員さん、マキばあさんが仰いました。

「おら、実生なら出来るよ。」

85歳を超えたいまでも、実生、曲付け、接木を続けています。

僕も年を重ねたり、病気で盆栽がまともに作れなくなっても、実生は続けていきたいと思います。

そのためには、毎年この仕事を続けて、僕の体に実生仕事の技術をしみ込ませる必要があります。

なぜなら、誰にでも出来ることは、誰にでも続けることの出来ない仕事だからです。

要するに、誰にでも出来る仕事なんて表現してますが、実際誰にでも出来る仕事じゃないということです。

どんな仕事でも、経験が体を作り、技として体に残っていくものだと思います。

言葉という魔法に泳がされて、時間という宝物を大事にしない人には決してえられない幸福。

技には、言葉という特効薬は通用しない。

だからこそ、みんなで実生を楽しんで欲しい。

技はすなわち自然だから。

あなたがあなたの体で覚えた個性だから。

僕の願いの1つです。欲張りな僕のです。

最後に、僕が勝手に実生素材のテーマソングにしている唄を紹介します。多分既に出てますが。

ブルーハーツ「歩く花」

伝統、文化はそれが続くことが出来えた側、人、技術に在るのであって、作られたものに在るのではないと思います。

たとえ世界中の名木が枯れても、また時間をかけて作ればいいのです。それが技術であり文化であり、過去からの遺産、生命の連鎖、伝統ではないでしょうか?

出来たものや過去に説明をつけるのは、歴史の勉強です。

それなら歴史の教科書を買って読めばいい。

文化、伝統に触れてみたいなら、そう思った本人が、実際に技を身につけるしか方法が無いと、僕は思います。

だから名木を鑑賞するのは歴史です。実生は伝統であり文化です。

世界中の老若男女が、盆栽文化に触れうる最大限の可能性が実生にあると、僕は信じたいのです。

畑仕事のあとの筋肉痛は、まぁ、自分へのご褒美でしょう。

もはや僕は変態です。

|

« FOR座REST、参加します! | トップページ | 春の行事 »

「盆栽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/209438/34241813

この記事へのトラックバック一覧です: 一生の仕事:

« FOR座REST、参加します! | トップページ | 春の行事 »