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リアル田舎に泊まろう!

先週の6日から昨日10日まで、フランスからお客さんが来福されました。

彼の名前はルイスさん、36歳。

彼はヨーロッパ最高峰のモンブランで冬はスキー、夏はロッククライミングの山岳ガイドを職業として、シーズンオフは、山の自生樹を撮影して、盆栽雑誌に掲載してもらう仕事をしています。

今回の日本旅行は、日本大好きの奥さんからのクリスマスプレゼントだったそうです。

彼は、関東の有名な盆栽園を見たあと、何故か福島に4泊5日滞在することになりました。

しかも通訳の方は、初日だけで、その後彼は一人で福島のユースホステルに泊まることに。

彼は殆ど日本語が話せないというのに、英語(フランス人ですが、仕事柄英語はペラペラです)とはまったく無縁のド田舎、在庭坂にやってきたのです。

彼が福島に来た理由は、フランス語で出版されている僕の爺さんの本を読んで、一度福島の我が家の庭と、吾妻山の五葉松の自然樹を見たかったからだそうです。

彼ははじめガイド無しでも自分で調べてバスや徒歩で、勝手に福島を取材するから心配しないでくれと言っていましたが、

それが出来ないのがジャパニーズ田舎者の性分です。

早速次の日は吾妻山へご案内。

008_2これは白さぎの松。ウサギ平に悠然と立つ、白い樹皮が美しい五葉松です。

他にも根上がりや米栂原生林を案内しましたが、残念ながらこのあと大雨と深い霧に。

最後に願いを込めて、幕川の双幹樹に会いに行きました。

015僕も3年ぶりのご対面。やはりこの樹は美しい。

まさにこの谷だけが一瞬霧が晴れ、その姿をみせてくれました。

写真の左下に小さく見えるのはルイスさんです。

このあと、彼は生まれてはじめての温泉に入りました。感動していました。

そのあと、家族みんなで夕食を食べて(ラーメンと餃子)次の日僕は友人の結婚式で東京に行くことになったのですが、

その日は、うちの庭や、盆久楽会員さんの庭、松畑、親父の新木作りをみていただいたそうです。その夜もみんなで温泉へいったとのこと。(人生2度目の温泉)

そして、その夜、僕が仲間と3次会で飲んでいると電話が。

母親からで「明日ルイスさんと親父と、佐藤さん(盆久楽会の会員さん)の3人で日暮し見に行くことになったから」

どうやらその夜、盆久楽会の会員さんや僕の家族と食事中に、勢いで親父と佐藤さんが盛り上がって、急遽日暮し行きが決定したそうです。

そんなノリでいけるほど安全な道じゃないのですが、とほほ。

まぁ、気をつけてと念を押して、またお酒を飲みなおしました。

次の日、東京から帰ってみると、まだ山から帰っておらず少し不安が。

けれど、夕方4時頃に帰ってくると3人からはほのかに卵のにおい。

どうやら今日も下山して温泉に入ってきたそうです(人生3度目の温泉)。

そして、肝心の日暮しは、去年よりも雪が多く、樹幹部が親父の身長ほどしかなかったそうです。

登山自体も二日酔いのおじさんふたりを尻目に、ルイスさんは日本語で「スバラシイ!」を連発しながら、吾妻山の自然樹にシャッターを押し続け、遅れても走って追いついたとの事。

そりゃ、モンブランで命がけのスキーガイド(毎年のように同僚が滑落やなだれで命を落としているそうです)やってるくらいですから、彼に言わせて見れば「Easy」だということでした。

ヨーロッパの山には、吾妻山にみられるような、根がむき出しになった根上がりや、枝が一歩方向に何メートルも流れている吹流しのような樹形は見られないそうです。

ですから、吾妻山の自然に大変感激していました。

そしてその夜も家族や近所の皆さんと一緒に田舎飯。

ここに来るまでは、コンビニ弁当とカップめんが殆ど。

僕たちは今が旬の山菜や煮物など、当たり前のローカルフード。

けど、それが返ってうれしかったみたいです。

彼曰く「東京は外人ばかりだけど、ここは誰も外人がいない。Really Japan」ということでした。

ここまで「だそうです」連発には理由があって、僕たちのコミュニケーションは、辞書とフランスの地図と絵、擬音とジェスチャーが殆どで、だれもまともな英語を使える人がいなかったからです。

けど、通訳の方がいなかったおかげで(失礼かもしれませんが)、こちらも相手の目を見て、本気で会話をしようとしたし、相手も英語のレベルを下げながら一生懸命説明してくれました。

僕たち家族も初めて外人さんと英語で話すことが「楽しい」と心から実感しました。

大切なのは正確な英語ではなくて、相手と話したいという気持ちなんだなと思いました。

そして、彼も突然やってきた見ず知らずのフランス人に、英語も話せないのに、やたら面倒を見たがる人ばかりで、かなり驚いていました。

けれど、僕たちからすれば、こんな何も無い田舎にわざわざフランスから来てくれたことにとても感激したし(しかもたった一人で。)、何か1つでも思い出を作っていって欲しいと思ったわけですから、何も特別なことをしたとは思っていないのです。

最終日、みんなからのお土産で、両手がふさがってしまった彼が、別れ際に言ってくれました。

「Never forget」

駅まで送る車の中で涙をぬぐう彼の姿に、僕も今回の素敵な出会いがこれで終わってしまうのかと思うと、今にも泣きそうになりましたが、そこは田舎流に笑顔で見送りました。

家に帰って思わずお袋に「俺たち、やりすぎたかな?」といったら、

「今出来ることをやっただけだ。」といいました。

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コメント

すばらしいお話ですね!
その方もすばらしい思い出が残ったことでしょう。

留学してたときに、中学中退状態だった先輩が勢いと熱意でコミュニケーションをとってましたが、やっぱり、思いがあれば通じますね! 

投稿: 凡才人 | 2010年5月15日 (土) 12時17分

凡才人さん

留学してたんだ!

英語しゃべれるんなら、こんどルイスさん来た時に是非手伝ってね!

日暮も、まもなく寿命を迎えるけど、世界に吾妻の自然が紹介されるってことは、福島市民にとって、本当は誇るべきことだと思いますよ。

本当は保護活動したいんだけど、どうしたらいいかわからないんですよね。

凡才人さんは、何かわかります?

投稿: ちどり | 2010年5月15日 (土) 21時01分

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