夏飾り、レポート。
先週17日、18日に福島市佐倉下にある旧佐久間邸で、ぼんさいや「あべ」の夏飾りが行われました。
おかげさまで、思っていた以上の大盛況となりました。
大きくて、古くて、懐かしいお屋敷で、畳に座しながら、盆栽をゆっくりと眺めていただきました。
内容は、来てくださった方のブログで素敵に紹介していただいたので、裏方を中心にお話してみたいと思います。
準備の様子です。会場は何度も下見をして、先に飾る場所と飾るものを決めて、それに合わせた屏風や卓(しょく、花台のことです)を並べてから暑さ対策のため閉館ギリギリ担ってから山野草を飾りました。
飾る前の旧佐久間邸。
屏風を立てています。
この屏風は、物置でぼろぼろになっていたものを、職人さんに直していただいたものです。
今回唯一にして最大の誤算。ふすまの部分の高さが合わず、屏風同士を重ねることが出来ませんでした。
もともとの襖ではなく、その後に直したものと思われます。この為、床をすべて使うことが出来ませんでした。
これは、まぁ、課題といえば課題ですが、佐久間邸使用の屏風が必要になってきますよねぇ。
メインの床飾りです。青黒い床が、樹をぐっと浮き上がらせて、とても渋く見えました。
この樹は、ライブラリの巨匠自作を語るにも載っている樹です。
当時より樹が落ち着いています。さらに、一本枯れているので、様子も大分違うと思います。
爺ちゃんは、「水鏡の松」と言っていました。
今回は夏なので米栂を数本候補に用意していましたが、最終的にこの樹になりました。
米栂は枝先に力が乗りやすくて、針金はすぐに食い込むのに、外すと跳ね上がります。
かといって芽つみに頼りすぎると、枝がごつくなって、米栂らしさがなくなってしまいます。
飾るタイミングの難しい樹種です。
大阪万博に出展した文人です。この鉢は、行山さんとうちの親父の合作です。
行山さんが、我が家を訪れてくださった時に、この樹のことを当時から憶えていて、その後父が常滑の行山さんの窯を訪ねた時に、父に、この樹の鉢を作りましょうとすすめて下さり、父が作った鉢なのです。(もちろん行山さんのサポートあり)
驚いたのは、行山さんは一度樹を見ただけなのに、寸法も測らずに樹にあわせて鉢を作ってしまうことです。
もちろんて手びねりで、焼き締めたあとの大きさや、木の寸法、樹に合う鉢の大きさもしっかりとイメージ出来ていたということですから、さすがに本物はちがうなぁと、家族一同感動したことを憶えています。
ちなみに落款はうちの親父の名前ですよ。
丁度アワモリショウマが涼しげに背を伸ばしていました。
ナナカマドの寄せ上です。今年は見事に実もなり、秋の紅葉も楽しみです。
ただ暑さに弱く、葉を焼かないように神経を使います。
今回の展示会や、拓坊さんで行われた展示会では、特に樹の勢力に気を使いました。
生命力があふれ出すような感じって、元気もらえますよね。
水遣りや場所、消毒や肥料のタイミングを誤れば、せっかく丹精していても、直前で飾れなくなってしまいます。
普段どおりの丹精を心がけていましたが、それでも、展示会が終わるまでは、気が気じゃなかったことも本当です。
特に会期中は福島の今夏の最高気温を更新するような猛暑日。
それでも、その展示会を可能にしたのは、この日本の自然に合わせた古民家のおかげでしょう。
午前中に、飾る鉢をすべて大きなたらいでドブ漬けして置きましたが、飾った盆栽たちは初日を終えて一度すべて外に出して水をあげ、そのまま外に出しておくと、朝日で痛む可能性があるので、土間に入れておきました。
心配でしたが、室内においても土間は涼しいし、夜間雨戸を閉め切っても、熱がこもらないように、中のふすまはすべて開けっ放しにしていただきました。
冷房の効いた部屋においていれば安心かというと、逆に乾きすぎるし、それでも外からの強い日差しが降り注いだりすると、葉が焼けたり、根を痛めてしまいます。
僕たち人間にとっては厳しい暑さの2日間で、足を運んでくださった皆様には、沢山の汗をかかせてしまいましたが、だからこそ感じれた夏の涼もあるのだなと、少しだけでも感じていただいたのなら、光栄です。
柏葉アジサイの石付き。もともとは庭木の枝を取り木したものです。
もみじの斜幹です。渓流を覗き込むような姿が涼しげな一鉢です。
これはジン(枯れ枝)に梅花ツツジなどを寄せたもの。白い枯れ枝に沢山の植物が育つ様子は、屋久島の山を登った時に良く見た光景です。
銅葉のネム。和の空間に限らず、どこでも合わせやすい樹種です。涼しげですよねぇ。
2日目は昼ごろに強い雨が降りました。涼しい空気が古民家に流れてきました。
雨どいから落ちる雨水は石造りの溝に流れる仕組みになっています。こうするとさらに涼しさが運ばれてきますよね。
昔の人のアイデアって凄いですよね。お洒落と機能性がマッチしているからすごい。
今回は出来るだけ来ていただいた皆様とお話、接っすることが出来ましたが、ワークショップ中挨拶だけのかたもあり、反省しております。
その分、家族がサポートしてくれたので、非常に助かりました。
また搬入、搬出にしましても、お願いせずともお手伝いを買って出ていただいた方もいました。本当に助かりました。
そして、管理人さん、元の家主さんもとても好意的で、やりやすいことこの上ありませんでした。
展示会を終え、早くも次回を期待する声を沢山頂いております。
秋は盆久楽展がありますので、そちらに力を注ぎ込みたいと思います。
また旧佐久間邸で、皆様とお会いできる日が実現するよう、再び丹精を続けていきたいと思います。
会場に来ていただいたみなさん、
今回会場にこれなくても、応援していただいた沢山の方々、
家族、
ありがとうございました。
字あまり。
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