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伝統の本質。

皆さんは伝統について、真剣に考えたことはありますか?

そんなこと考えるなんて、そもそもウツ的な発想ですが、僕は職業柄、性格的にも考えずにはいられないのです。

まずは伝統って何だと思いますか?

簡単に言えば、とても大事なものでありながら、決して変わらないものじゃない、そんな事だと思います。

かと言って、変えていいものでもない。

じゃあ何なんだってなりますが、ここで大事なのは一体性と言う考えだと思います。

ここに盆久楽会の規約、第3条を載せます。

「本会は故阿部倉吉の指導した空間有美を基調とした作風に共鳴するものをもって組織する」

これは簡単なようで、とても難しい。

なぜなら祖父は亡くなり、父、そして僕の代になれば空間有美もまた、解釈に多少の変化を避けられないから。

それが会員さんともなれば、直接祖父との関わりがなければなおさら、本当のところで腑に落とす事は難しいし、例えば僕の子供やその世代が伝統を守る立場になった時、祖父や父との盆栽を通じた直接の関わりが殊更希薄になってしまっている以上、さらに伝統を守る事が容易でないとは、誰しもが想像できる事だと思います。

その上で伝統を守るとは、やはり一体性なんだと思います。

世界中の誰にでもこの空間有美の作風を運ぶためには、僕らの個人の利益以上のものが必要なのではないでしょうか?

よく言う商売とは、何なのでしょう?

お金を多く手に入れる事が目的なら、それはそれでいいでしょう。

けど考えてみると、そのための手段が盆栽なら、それはギャンブルに近いものがあります。

勝ち負けが目的なら、スポーツに似ています。

盆栽が人の心を穏やかにするものなら、目的が勝ち負けやお金になっては、本来の一体性から外れてしまうのではないでしょうか?

綺麗事と言う前に、自分の器量を疑った方がいい。

出来ないなら、本来の一体性の中で、たくさんの人達に「助けて」もらいながら、成長していくしかない。

目の前の勝利にこだわるなら、伝統とそもそも縁がなかったんだと諦めて、勝ち負けの世界に生きればいい。

だからお金儲けはあくまで伝統を維持するための手段の1つであって、目的じゃないと思う事が大切なのかもせれません。

僕の立場で言う伝統とは、空間有美。

自然らしさの表現の中で、このクソッたれな世の中にも、心が安らぐ美しい自然がある事を知ってもらいたい。

そして解釈の問題。

これは僕個人の心が楽になるためだけに、そのタガを簡単に外しちゃいけないと思う。

たとえ空間有美の総本家であっても、優先すべきはその一体性であり、僕個人の利益じゃない。

軸があって初めて物事は回り出す。

軸がなければ、ただ彷徨う難破船だ。

伝統とは軸だ。

変えられないものを受け入れる落ち着き。

変えられるものを変えていく勇気。

そしてその2つのものを見分ける賢さ。

それをみんなで考えていくのが、伝統を守るという事だ。

それは決して楽じゃないけど、伝統の面白さの本質はそこにあると思う。

簡単に白黒つけて前に進む前に、少し立ち止まってジックリ考える時間が必要なんだと思います。

例えば、盆栽をゆっくり眺めながらね。

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コメント

大変見事な「伝統」解釈でした。とても嬉しく思いました。

投稿: 工藤四郎 | 2016年4月13日 (水) 14時51分

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