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心底、ありがとうございました。

7月7日、僕にとって大切な方が空に旅立ちました。

10年ほど前、修行時代、腰を悪くして実家で療養中に出会いました。

「息子さん、神奈川ならタマに食事をご馳走しますよ。」

と言って、連絡先を交換しました。

そもそもの我が家とのご縁は、ご夫婦で映画を作っていて、飯館村の公民館で映画の上映会をしたとき、その公民館の管理人の旦那さんが我が家の会の会員さんだったことから、

盆栽に興味のあったその方が我が家にも足を運ぶようになりました。

そして、修行時代三ヶ月に一度ほど、小田急線経堂駅前の韓国焼肉屋で、沢山話を聞いてもらいました。

その頃の僕は、弟子という立場上、何だか社会に混ぜてもらっていないような寂しさで、身勝手な不満や不安で一杯でした。

それでもその方は、何時間でも僕の話に耳を傾け、最後に決まって、

「大樹くんがそう考えたんだから、それでいいんじゃない。大事なのは、それを相手にどう伝えるか、それを考えることだよ。」と諭してくれました。

そして必ず、答えではなく、自分自身の経験談を元に、僕に気づきのヒントを投げかけてくました。

すると数日後決まって手紙を下さいます。
そこにも、次の予定と共に、自分の経験での気づきがサラリと優しい文面でかいてあました。

弟子明けしてからは、年に二回、5月と10月に福島に来てくれました。

震災直後、奥様と作った自閉症の子供たちの映画「星の国から孫二人」の上映会をフォーラムで行い、駆けつけたのもいい思い出です。

そのとき監督の奥様と、しばらく言葉につまり見つめ合ったのですが、今でもあの時間が忘れられません。

その年の9月に奥様が亡くなられました。

長年リウマチを患いながら、それでいて自分のことではなく、社会の中で悩み苦しんでいる人たちにスポットライトを当て続けた、本当に素晴らしい監督でした。尊敬する女性でした。

それから、その方の会社も忙しくなり、映画も2本作りました。とても素敵な映画です。

盆栽や人生の話を沢山したかったのですが、次の世代に仕事の引き継ぎをするんだと意気込んでいましたので、それが落ち着くまでは、少し待っていようと思っていたのです。

それから3年経って去年の夏、大きな病気をされました。驚いたのですが、本人は至って飄々としていました。11月にお会いしたときには、がっしりした体が随分細くなって、とても心配でした。

それでも本人は、「まだまだやりののしたことがあるから、大丈夫だよ」といい、ぼくも心を落ち着かせたのを覚えています。

ご家族から電話があったのは、7月に入って直ぐでした。

本人の容態が急変して、今は自宅で終末医療を受けているとのことでした。

まだ話ができるときに聞いていた盆栽と鉢を取りに来れないかとの話でした。

正直、余りに急で思考が止まりました。

それから直ぐに車を手配して、夜中に八王子に向かいました。

朝5時に自宅に着きましたが、ご家族が起きて待っていました。

半年ぶりにお会いするその方は、病気の影響で丸で別人になっていました。

目も見えず、言葉もしゃべれない。

それでも驚いたのは、椅子に座って体をしっかり起こしていたのです。

僕の呼びかけにも、体を揺すってしっかり反応しました。

「実は、先生が昨日来て、余命は昨日だろうって言っていました。」

「大樹くんが来るのに死なせるわけにはいかないから、夜中、夫婦で作った映画を流して、体をさすりながら声がけしていました。」

「お分かりの通り、本人は格好つけだから、大樹くんにこんな姿を見せたくないんだろうけど、それでも来てくれてよかった。」

盆栽を車に付けているときに、いろんな事が頭を駆け巡りました。

帰るときにもう一度声をかけました。
想いを残したくないから、家族の前で不謹慎にも、

「まだ早いですよ!福島で待ってますから、また沢山お話ししましょうよ!」

っ言いました。

そのあと、なんだか電話する事もできず、預かった盆栽を手入れして、その後で電話すると、

「実はあの日の午後に静かに息を引き取りました。」
「大樹くんの事待っていたんだね。」

葬儀は家族で行ったそうです。

最後体を起こしていれたのは、モルヒネを一切拒んでいだからだと言っていました。

僕は神様がいるだとしたら、この機会を与えてくださった事に感謝します。

人は、人から埋め合わせてもらっただけでは、幸せにはなれない。

本当に伝えたい気持ちを、本当に伝えたい言葉で伝えられて、心は満たされるものなんだなと、自分自身の経験で実感出来ました。

正直、納得の行く終わり方じゃないです。まだ、60代。早すぎます。

もっともっと教えて欲しかった。

それでも前を向けるのは、僕の気持ちを言えたから。

頂いた手紙、読み返しています。

今読んでも、今諭されているような、今怒られているような、そんな手紙ばかりです。

最後に本人から関わりのあった方々に最期のメッセージが届きました。

全く最期まで、格好つけてくれます。

僕が今日まで、心を壊さずに、前を向いて生きてこれたのはあなたのお陰です。

これからは、僕もあなたの、あなた達のメッセージを伝えていく順番です。

本当に本当に、ありがとうございました。

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